クリアネス
古い長屋の引き戸を開けて、奥の急な階段を上る。
久しぶりのレオの部屋は、相変わらず漫画だらけで、『スター・ウォーズ』のフィギュアも少し増えた気がした。
懐かしい気持ちがするのはなぜだろう。
ベッドの端にレオが座り、それにもたれかかるようにあたしも座った。
うしろから包みこむように腕を回すレオ。
ふたりいろんな話をして、少し話題が途切れたかと思うと、ついばむようなキスをした。
「ねえ、いつから俺のこと気になってた?」
指をからめながら、レオが言う。
「いつからって……そんなのわかんないわよ」
「えーっ、なんで?」
「何となく、あんたに目がいったってゆうか……。女の子じゃあるまいし、変なこと聞かないで」
あたしは照れ臭くて、わざと素っ気ない態度で言う。
「教えてくれてもいいのに」
と唇をとがらすレオ。
かわいいなあ。
「じゃあ……レオは? いつからあたしのこと気にしてた?」
「俺?」
「うん」
「俺は、そうだな……」
「……」
「俺は……、たぶん、初めて見たときから」
「はぁっ? 嘘臭っ! 面白すぎ!」
「いや、嘘じゃねーから!」
思わず吹きだしたあたしを、レオはうしろからはがいじめにした。