クリアネス
「こら~、離してよ」
「やだね」
キャッキャッとはしゃぎながら、あたしはレオの腕から逃げようとする。
そして。
「離すわけねーし」
「……っ」
突然、目まいのするような深いキスをされた。
奥まで入ってくるやわらかい舌の感触に、あたしはみるみる力が抜けてしまう。
ハァ…と熱い吐息が漏れた。
「――初めて、さくらを見た時」
レオの瞳が、あたしを捕らえる。
「なんて暗い顔をしてるんだろうって思った。
誰といても、いつも壁を1枚作ってる感じで」
「……」
「けど、さくら、うちの事務所をよくのぞいてたじゃん?
こっち見てる時のさくらは、ホントきれいな顔してた。
だからちょっとでもその顔が見たくて、俺、いつも事務所でバカばっかりしてたんだ」
思いもよらない台詞に、あたしは何も言葉が出なくなる。