クリアネス
「俺、さくらに会う時は、いつも自分の中で適当な理由を作ってた。
だって、ダメじゃん? 俺みたいな奴が、人を好きになったら」
「そんなことっ……」
「けど好きになった」
凛としたレオの声に、あたしは顔を上げる。
そらすことのない、まっすぐな瞳。
そして、少しの静寂の後だった。
「好きだ」
音のない部屋で、確かに響いたその言葉。
「さくらが好きだ」
「……レオ」
手に入れることはないと思っていた幸せが、今、ここにある。
つないだ手を離してしまわなくてよかった。
本当によかった……。
「それで、だな」
ゴホン、とせきばらいして、レオは突然あたしと向かい合って正座した。
「な、何?」
「俺たち、お互い好き同士だったということで……いいですか?」
「は? 何が?」
意味がわからず、キョトンとするあたし。
レオはもう一度せきばらいすると、低い声で小さく言った。
「……えっち」