クリアネス

…………。



「えっ……、ええぇっ!?」



あたしは思わず、座ったまますごい勢いで後ずさりする。


そして突然、回転する視界。



「ぎゃあっ!」


見事、ベッドから落ちてしまった。



「痛ーい!」


「あーあ、何してんのお前」



ベッドの上から差し伸べられたレオの手を、条件反射でつかむと、一気に体ごと引き上げられた。



「……っ」



間近で目が合って、体がすくむ。


まるで捕らえられたうさぎだ。



レオはあたしをベッドに寝かせると、電気を消して着ていたシャツを脱ぎ捨てた。



暗闇に浮かぶレオの白い肌。


あたしはそれを見上げ、息をのむ。


細い、けど、適度に筋肉がついていて……。



「ちょ、ちょっと待って」


「無理。待てねーし」


「だってだって、仕事以外でセックスしないって言ったの、あんたじゃない!」


「そんなの忘れるくらいに好きにさせたの、さくらだろ?」


「えぇっ……!?」



ミシッときしむベッド。



「責任取ってよ。まさか忘れてた? 俺、男だよ?」



レオの体が覆いかぶさってきた。

< 177 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop