クリアネス
「ホントに?」
「うん」
「成瀬さんはどうするの? レオのおじさんでしょ?」
「ちゃんと話すよ。大丈夫。それより気になるのは……」
そこまで言いかけて、レオは口をつぐんだ。
「いや、何でもない」
言葉を飲みこむレオに、あたしは何も聞けず、唇をかんだ。
繊細なガラス細工は、ほんのわずかな衝撃で壊れてしまう。
それが怖くて。
「なあ、夕日見に行かない?」
空気を変えるように、レオが突然そんなことを言った。
「え? どこに?」
「与那国」
「えっ!?」
すっとんきょうな声を上げるあたしに、レオは、ふっと微笑んだ。
「明日、おじさんに話すから。それが終わったら真っ先にさくらを迎えに行くよ」
「与那国に、行けるの……?」
レオは、あたしの服の乱れを直しながら深くうなずく。
「言っただろ? 日本で最後に沈む夕日、いつかふたりで見ようって」
「あ……」