クリアネス
「……レオが、あたしを守ってくれるの?」
「当たり前だろ」
「男の子だもんね」
バカにしてんのかよ、とすねた風に言って、レオはあたしの胸もとに顔をうずめる。
「変かもしれないけど、さくらが逃げようって言ってくれた時、嬉しかった」
「嬉しかった?」
「うん。逃げてじゃなくて“逃げよう”だったのが」
レオの熱い息が胸もとで溶けて
奥の心臓を、優しくつかんだ。
「俺にとっては最高の告白みたいに聴こえたんだ」
……きっと、誰が見たって、あたしたちのしていることは間違っている。
わかってるよ。
逃げれば逃げるほど、お互いしか味方がいなくなることも。
だけどあたしたちは、世界にぶつかりたかったわけじゃない。
ただ、レオと手をつないでいたかった。
それだけ……。