クリアネス

「……レオが、あたしを守ってくれるの?」


「当たり前だろ」


「男の子だもんね」



バカにしてんのかよ、とすねた風に言って、レオはあたしの胸もとに顔をうずめる。



「変かもしれないけど、さくらが逃げようって言ってくれた時、嬉しかった」


「嬉しかった?」


「うん。逃げてじゃなくて“逃げよう”だったのが」



レオの熱い息が胸もとで溶けて

奥の心臓を、優しくつかんだ。




「俺にとっては最高の告白みたいに聴こえたんだ」




……きっと、誰が見たって、あたしたちのしていることは間違っている。



わかってるよ。


逃げれば逃げるほど、お互いしか味方がいなくなることも。



だけどあたしたちは、世界にぶつかりたかったわけじゃない。



ただ、レオと手をつないでいたかった。


それだけ……。







< 200 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop