クリアネス
「あー、早くビール飲みてー」
レオが叫ぶ。
「あんた未成年のくせに酒強すぎ」
あたしが突っこむ。
「えっ、やっぱ未成年なん?」
エリコさんが驚く。
「あねごキラーやな」
アキラさんが言って、皆笑う。
目の前に広がるのは、知らない町並み。
目の前を行き交うのは、知らない人たち。
大丈夫。
あたしたちは、きっとうまくいく。
次の日は2日酔いだったから、1日中ベッドの中でレオに介抱してもらった。
その次の日は少しマシになったので、ふたりで近所のスーパーに行ってカレーの材料を買いこんだ。
そのまた次の日は寝かせたカレーがいい味をだしていて、レオは3杯おかわりした。
「まったく。その細い体のどこに入っていくんだろうね」
「俺、カレーは別腹なの」
「この前オムライスでも同じこと言ってなかった?」
「そうだっけ」
穏やかに、ただ過ぎていく日々。
まるで、最初からふたりでいたみたいに。