クリアネス
ふいに、視界がシャットアウトされた。
レオの冷たい手が、あたしのまぶたを押さえていた。
「……見なくていい」
「……」
「見なくていい」
震えているのは、あたしの体だろうか。
それとも、レオが触れた手?
夜が来た。
恐ろしいくらいに静かな夜。
風が窓ガラスを揺らす、カタカタという音だけが小刻みに響く。
寄り添って眠るレオの体は、いつも通り温かい。
なのに、どうして。
闇が、あたしを独りにする。
「震えてるよ」
耳もとでレオの声がした。
「レオ……寝てなかったの?」
「うん。さくらが気になって」
「大丈夫だよ」
あたしは早口でそう言って、抱きしめてくれている腕をほどこうとする。
レオはそれを阻止するように、細い両腕に力をこめた。
「大丈夫なわけない。こんなに弱いのに」
ため息混じりに言った、レオの言葉。
「……弱い?」
誰が?
あたしが?