クリアネス
思いもよらない言葉に、あたしは喉の奥が詰まって、何も言えなくなって。
仕方ないから、レオの腕に包まれたままでいた。
本当は、震えを悟られたくないから、さっと離れて元気に笑って見せたいのに……。
「弱く……ないよ」
これが、精一杯。
強がりがバレたのかな。
レオはあたしの髪を、優しくなで始めてる。
「弱いよ。さくらみたいに弱い奴、見たことねーし」
頭の丸みに沿って、愛しい手が何度も往復する。
髪をなでられるのは気持ちいい。
レオの手は、あたしには温かすぎて……。
「あ……あたしっ……ずっと誰かに、そう言ってもらいたかった……」
レオの手に触れられるたび、心が熱くなって。
あたしは何度も闇から救い上げられてきた。
あたしは弱い。
貴方が見つけてくれるまで、ずっと独りで泣いていたんだ。
レオは手を止めると、あたしに繰り返しキスをした。
まんまるの澄んだ瞳に、あたしの姿が映る。
弱くて子供みたいな自分。