クリアネス

「だけどさくらは、きっと強くなれるよ。そして幸せになれる」


「幸せに?」


「うん。俺が保障するよ。信じて……」




しつこいくらいに、レオは何度も「信じて」と繰り返した。



……信じるよ。


あたしはレオを信じる。




だけどそれと同じように、あたしを信じてくれていたコウタロウの未来を、どうすればいい?










翌朝。


空は昨日に増して鮮やかな青で、あたしはアラームより先に目を覚ました。



瞳を開けて、あたしは驚いた。



いつもなら起きてすぐに目に入るのは、レオの寝顔。


なのに今日は、すでに目を開けてあたしを見ている彼の顔が、そこにあったから。



「おはよ、さくら」


「……おはよ。早いね」


「俺も少し前に目覚めたとこ」


「そっか」



つまりはふたり、同じタイミングで目が覚めたってわけで。


こんなささいなことが、少しだけ嬉しい。





天気がいいから、外で朝食をとることにした。


コテージの庭のウッドデッキは、この時間ちょうど木陰になっていて

葉のすき間をぬって照りつける、わずかな光が心地よかった。

< 224 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop