クリアネス
レオが見入っているそのペアリングを、あたしも横からのぞきこんでみる。
シルバーの台に何かの記号みたいなものが彫られた、ごくごくシンプルなふたつの指輪。
「これください」
ペアリングを指差して、レオが店員さんに呼びかけた。
「サイズは?」
「えっと……」
自分とあたしの指のサイズを、すらすらと答えるレオ。
「あ、包まなくていいです。そのままで」
裸のままの指輪をふたつ受け取って、あたしたちは店を出た。
……てゆうか。
「あんた、なんであたしの指のサイズ知ってるわけ?」
「ああ、見ればわかるもん」
さらりと答えるレオに、少し腹が立つ。
だってそれは……今までも相当な数の指輪を、女にプレゼントしてきたってことでしょう?
「さくら? 何、不機嫌になってんの?」
「別にぃ」
「あ、もしかして、さっきのサイズの話?」
ずばり当てられてそっぽを向くあたしに、レオがニヤッと笑った。
「妬いてるんだ~さくら」
「べ・つ・に!」
「さくらが思ってるような変な意味じゃないよ」
言いながら、レオはあたしの左手をそっと引き寄せた。
「……さくらに関することなら、見ればわかるって言いたかったの」