クリアネス
「……バカ、じゃないの」
「そ。俺バカなの」
「ホント……バカ」
こんな、バカみたいにきれいな奴……あたしがいなくちゃすぐに壊れちゃうじゃない。
愛していたい。
離したくない。
この人を。
そして、あたしは気づく。
貴方を守るためなら、残酷な女になることすらもう怖くないと。
「……さくら」
「ん?」
「ごめん。ちょっと抱きしめさせて」
急につないでいた手を引っ張られ、レオの体に包まれた。
「どうしたの? レオ」
ぶつかりそうなくらい近い距離の顔を見上げ、ふと気づいた。
目の下、クマができてる?
うっすらとレオの目もとに浮かぶ疲労の跡に、違和感を覚えた。
だって、今朝はあたしと同じくらいに目が覚めたって言ってたのに。
それまで寝てたんじゃなかったの?
「さくら……」
レオの、穏やかな声がした。
「俺のこと、好きになってくれてありがとう」
「……」
苦しいくらいに強く締めつける、2本の腕。