クリアネス
コウタロウが忘れ物でもしたんだろうか。
あたしは寝ぼけ眼でドアを開けて、
「ギャーッ!」
またしても無意識に叫んでいた。
レオが、そこにいた。
「……お久しぶり」
「いつも見てたくせに、久しぶりも何もないだろーが」
レオはからかうように笑って、細い金色の髪を揺らす。
そのまぶしさで、あたしの眠気は一気に吹っ飛んだ。
「とりあえず、上がる?」
「お邪魔しまーす」
レオがスキップに近い足取りでリビングに入っていく。
……なんて心臓に悪い男なんだ。
あたしが過剰に反応しすぎなのだろうか。
とにかく、相手を確認せずにドアを開ける癖は直そう。
そう心に決めながら、あたしは鍵をしっかり閉めた。