クリアネス
ごめんね、レオ。
さくらは強くなれるよ、そう言ってくれたのに……。
頭を抱えてうなだれても、どうすればいいのかなんてわからない。
だけど、コウタロウを傷つけたかったわけじゃないんだ。
とぼとぼ歩いて、病室に戻った。
扉の前で深呼吸して、そっと開ける。
「……コウタロウ」
返事が無いことにどこか納得しながら、ベッドに横たわって窓の外を眺めるコウタロウに声をかけた。
「もう、彼のことは忘れるよ」
「嘘だ」
間髪入れず否定の言葉が飛ぶ。
「嘘じゃない……」
「だったらその指輪、外せるか?」
コウタロウの言葉に、あたしは言葉が詰まった。
何も言えないまま、右手の薬指に光るシルバーリングに視線を落とす。
レオからもらった約束の指輪。
戸惑いを隠せずにいると
「ほら、やっぱり」
コウタロウが言い放った。
「外せるよ!」
叫びながらかぶりを振って、あたしはリングに触れた。