クリアネス
最終章
【あなたがこの島に移住を決めた理由は?】
【……日本で最後に沈む夕日を見ることができるから、です】
「さくらちゃん」
腕組みをしたオーナーが、あたしを見てあきれたように言った。
「ま~た、休みの日に働いてる」
オーナーの視線は、あたしの足もとで豪快な音を立てて稼働する掃除機に向けられていた。
「あ……すみません。なんだかジッとしていられなくて」
「月曜はさくらちゃんの休みの日って決めてるんだから、ゆっくりしてればいいんだよ」
そう言ってオーナーは、あたしの手から掃除機を奪った。
「あ、ところでさ」
「はい?」
「こないだのインタビュー、評判良かったみたいだよ。あのさくらちゃんのコメントを見て、予約入れてくるお客さんも何組かいるし」
「ほんとですか!?」
あたしは思わず歓喜の声を上げた。