クリアネス


「――さくらちゃん」



リビングの扉から、オーナーが顔をひょこっと出した。



「あの情報誌を見て、さくらちゃんに会いたいっていう人が来てるんだけど」


「あたしに?」


「うん。金髪の、若い男の子」



心臓が跳ねた。


自分でもドクン、と音が聞こえるくらい、強く。



「庭で待ってもらってるから……」



オーナーの言葉を聞き終える前に、無意識に体はリビングを飛びだしていた。



ドクン、ドクン……


と鼓動は痛いほどに速さを増す。



「レオっ!?」



あたしは叫びながら玄関を開けた。



「あ……」



勢いよく開いた扉。



その向こうに立っていたのは。



金色の髪をした、あたしと同世代くらいの……知らない男の人。




「わあ、写真よりかわいいね」


男の人は開いた雑誌とあたしを交互に見て、警戒心のない笑顔を見せた。


< 264 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop