クリアネス
「――さくらちゃん」
リビングの扉から、オーナーが顔をひょこっと出した。
「あの情報誌を見て、さくらちゃんに会いたいっていう人が来てるんだけど」
「あたしに?」
「うん。金髪の、若い男の子」
心臓が跳ねた。
自分でもドクン、と音が聞こえるくらい、強く。
「庭で待ってもらってるから……」
オーナーの言葉を聞き終える前に、無意識に体はリビングを飛びだしていた。
ドクン、ドクン……
と鼓動は痛いほどに速さを増す。
「レオっ!?」
あたしは叫びながら玄関を開けた。
「あ……」
勢いよく開いた扉。
その向こうに立っていたのは。
金色の髪をした、あたしと同世代くらいの……知らない男の人。
「わあ、写真よりかわいいね」
男の人は開いた雑誌とあたしを交互に見て、警戒心のない笑顔を見せた。