クリアネス


「さくら、ちょっと」



昼食を終えて、講義室に戻ろうとしていたところを、コウタロウに呼び止められた。



「ごめん、ミカ。先に行っといて」


「オッケー。席取っとくから」



ミカに手を振り、コウタロウの方を振り返る。


いつも通りの穏やかな表情の陰に、怒りがちらついているように見えた。



「さくら、ちょっとここじゃ何だから」



コウタロウにうながされ、食堂を出た。




連れて来られたのは、人気の少ない夜間部の校舎の裏だった。



「どうしたの、こんな所まで来てさ」


「俺が何考えてるか、わかるよな?」



コウタロウの口もとから笑みが消える。

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