クリアネス

「何よ、あんた寝るの? だったらあたし帰るから――」



立ち上がって帰ろうとしたその時

突然、レオに手首をつかまれた。



そして男の力で、ベッドの中へと引き寄せられた。



「な、何?」


「さくら、一緒に寝よ」


「え?」



突然の展開にワケがわからずに……けど布団の中は温かくて自分の中に、嫌な気持ちが少しもわいていないことに驚く。



「……エッチするの?」


「しない」


「じゃあ、何するの?」


「何も。ただ一緒に寝たいって思ったから、さくらのこと呼んだんだよ」


「………」



抱きしめるわけでもキスするわけでも襲うわけでもなく

ただ隣に並んで寝転がって目をつぶるレオに、何も言葉が出なくなってしまう。

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