クリアネス
……罪の意識なんて
たぶん、最初から無かった。
斉藤さんをはじめ、お客さんたちとの出会いは、あたしが昨年まで勤めていた新宿のヘルス。
学業優先を理由にあたしが引退を決めた時、常連客たちが口をそろえて言った言葉がある。
「これからも会いたい」
じゃあ個人的な取引をしましょうか、あまり頻繁には会えないですけどね。
そう提案したら、どの客もシッポを振ってついてきた。
たぶん、店がからんでいなければ本番行為もオッケーだと期待したんだろう。
実際に、オッケーなのだ。
本番をとがめる人がいないのであれば、わざわざ口内発射なんていう面倒臭いことは、あたしもしたくない。
斉藤さんは腰にバスタオルを巻いて、期待と興奮を押し殺したような表情で風呂場から戻ってきた。
その腰に巻いたタオルは、いびつな形に盛り上がり異様さを増していた。
だけどあたしの心の造りだって、きっと相当にいびつだ。
さらけ出したい。
満たしてほしい。
この、幾重にも重なったひだの奥にある
本当のあたしを。