クリアネス
レオはそっとあたしの手を握って、半分まどろみの中にいる細い声で言った。
「眠いから、一緒に寝よ。でさ、起きるまで寝とこうよ」
レオの手のひらの、さらさらした皮膚の感触を感じながら
知らないうちにあたしは目を閉じていた。
まぶしい。
そう思って目を開けると、まぶしさの正体は昼の太陽じゃなくて、窓から入ってくる西日だった。
どうやら夕方まで眠ってしまったらしい。
まだ寝息をたてているレオを起こさないようにベッドから抜け出し、携帯電話を開いてみる。
コウタロウとミカから2件ずつ、予約の川原さんからは7件、着信履歴が残っていた。
携帯の電源をオフにして、あたしは本棚のフィギュアをのぞき込んだ。
見事なコレクションだと感心しながら、下の段の漫画も物色する。
読んでみたいと思っていた単行本があったので、それに手を延ばした。
すると、漫画に押しつぶされるように、棚の端っこにひそむ、冊子のようなものが目に入った。
何気なくそれを取り出してみると表紙に“N小学校・卒業文集”と、ポップな文字で書かれている。
……レオの小学校時の文集だろうか。
興味本位で、わら半紙の質素なページをめくっていくと
“将来の夢”というテーマで、各々の無邪気な希望が、思うままの文章で書きつづられていた。