クリアネス
“パイロットになりたい。”
“幸せなお嫁さんになりたい。”
“大きな家が欲しい。”
叶うと信じて疑わない夢は、数年の時を経ても、こうして本棚の中できらきらと輝いているように思えた。
あたしは子供の頃、何になりたかったんだろう。
さくらの小学生の頃なんて想像つかない、とよく言われる。
どうしてだろう。
けれどあたし自身ですら、自分に子供の時代があったことが、最近は不思議でならない。
それほど厚くない冊子をめくっていくと、すぐに最後のページまでたどり着いた。
結局レオの作文がどれなのかはわからなかった。
本名を知らないのだから当然だ。
読み終わった文集を閉じようとした、その時。
印刷された文字とは明らかに異質の
直接書き込んだ真っ黒いボールペンの文字が
あたしの目に入った。