クリアネス
「美味いね、このサラダ」
レオはマカロニサラダが気に入ったらしく、自分でキッチンまで行っておかわりを入れた。
「さくらは、おかわりは?」
「ん、いい」
あたしはなかなか減らないお皿の上を、無造作にフォークでつつく。
この、マカロニの穴みたいにレオの心の中が見える穴。
……そんなものは無いんだろうか。
食事の後は、ソファにふたりで並んで座る。
そしてレオが持ってきた格闘技のDVDを一緒に見るのが、最近の定番だ。
手には熱々のホットコーヒー。
あたしはブラック。
レオは角砂糖3つと、ミルク入り。
レオはすごく甘党だ。
最初にそれを知った時「そんな甘いの飲んで気分悪くならないの?」と聞いたら
レオは自分のカップをあたしに手渡し、飲んでみるようにうながした。
恐る恐る口をつけてみると想像していた通りの激甘で、あたしは黙ってカップを返した。
「無理! 絶対無理!」
「なんで? 美味いのに」
「これのどこが!?」
すぐにブラックコーヒーを飲んで口直しするあたしに、レオはコロコロと笑った。