クリアネス

「ごめんごめん。そんなにマズかった?」


「激マズ。これって、なんか……」


「なんか?」


「お菓子をジューサーにかけて飲んでるみたい」


「……それって最高じゃん!」


「………」



レオからは、いつも甘い香りがする。



そして、そんなレオの隣で飲むあたしのブラックコーヒーは

いつもより少し優しい味がする。










「やっぱすげえなあ、ミルコ」



格闘技のDVDを見ながら、レオは賞賛のため息をついた。


テレビには、まるで相手の頭を吹っ飛ばすかのような、ハイキックをきめる外国人選手が映っていた。



「あたし、外国人ってみんな一緒に見えんだけど」


「うわー、さくら、ババくせぇ」


「だから言ってんでしょ。あんたみたいなガキとは違うんだって」



おかしそうに笑いながら、レオはコーヒーに息を吹きかけて冷まそうとする。



「あ、ごめん。ちょっと熱すぎた?」


「若干」


「あんた猫舌だもんねー」

< 81 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop