クリアネス
「ごめんごめん。そんなにマズかった?」
「激マズ。これって、なんか……」
「なんか?」
「お菓子をジューサーにかけて飲んでるみたい」
「……それって最高じゃん!」
「………」
レオからは、いつも甘い香りがする。
そして、そんなレオの隣で飲むあたしのブラックコーヒーは
いつもより少し優しい味がする。
「やっぱすげえなあ、ミルコ」
格闘技のDVDを見ながら、レオは賞賛のため息をついた。
テレビには、まるで相手の頭を吹っ飛ばすかのような、ハイキックをきめる外国人選手が映っていた。
「あたし、外国人ってみんな一緒に見えんだけど」
「うわー、さくら、ババくせぇ」
「だから言ってんでしょ。あんたみたいなガキとは違うんだって」
おかしそうに笑いながら、レオはコーヒーに息を吹きかけて冷まそうとする。
「あ、ごめん。ちょっと熱すぎた?」
「若干」
「あんた猫舌だもんねー」