クリアネス
――『あいつが仕事以外で女を抱くことはありませんよ』
不意に、2週間前の事を思い出した。
成瀬と名乗ったあの男……。
一体何が言いたかったんだろう。
リョウさんは服の上からあたしの胸を刺激する。
熱い息を交換しながら、あたしはリョウさんの首に腕を回す。
――『特に、貴女のような仕事をしている人をね』
成瀬は知ってるんだ。
何か、レオの秘密を……。
「さくらちゃん、場所変えよっか」
リョウさんはあたしの手首をつかんで、店の外へと歩き出した。
夜風に吹かれながら、黙ってついていく。
夜は、まだ少し寒い。
ホテルのフロントで部屋を選んでいると、あたしの携帯が鳴った。
“着信:レオ”。
あたしは電話には出ずに、携帯の電源を切る。
「いいの? 出なくて」
部屋の鍵を受け取りながら、リョウさんが不思議そうに言った。