クリアネス
無理やりまぶたをこじ開けるようにして起きる。
時計は6時を表示していた。
もう夕方だ。
ひどく、喉が渇いていた。
冷蔵庫を開けてみると、水分と呼べるものはビールしか無かった。
……いくらあたしが酒豪でも、寝起きからアルコールはさすがにきつい。
ひんやりした冷気を顔に感じながら、開きっぱなしの冷蔵庫の前でしばらく悩んでいると
「さくらー、そっち行っていいー?」
突然、大声であたしの名前を呼ぶ奴がいた。
びっくりして、あたしは辺りをキョロキョロ見回す。
もちろん部屋には誰もいない。
「さくらー? いねーのー?」
再び声がした。
窓の方からだった。
声の主は誰かなんて、考える必要はない。
あの高い声には聞き覚えがあったし、何よりこんな風に呼びかけてくるような奴は、一人だけだ。
……久しぶりに聞く、子供みたいに無邪気な声。
胸が詰まる。
あたしは声のする方の窓に近寄り、そっとカーテンを開けた。