クリアネス
「あんた今日の仕事は終わったの?」
「うん、疲れたよ。やっぱ仕事の後は、冷たいビールだよなあ」
そんなオヤジ臭い台詞を吐きながら、レオはどかっとソファに体をあずける。
学生服に身を包んでいてもおかしくない幼さの残るその容姿からは、とても想像できないようなしぐさだ。
たった2週間離れていただけなのに、こんなにまぶしい。
どうしてこの子は、こんなにあたしを乱すんだろう。
ドキドキしてしまう……。
レオの細い指の先端が、缶ビールのフタにそっと置かれる。
ぐっとフタを持ち上げると、親指の爪がうっすらピンクに染まるのが見えた。
プシュッ……
勢い良く開いた缶から、白い泡が沸騰するようにあふれだし、レオの指を汚した。
「冷てー……」
たぶん、とっさの判断だったのだろう。
レオはそれを何気ない様子で、ぺろりとなめ取った。
泡のついた親指を口もとに運び、サンゴ色の唇に指をねじ込ませた。
その瞬間、
あたしはのけぞるような、内側をえぐられたような、クラクラする感覚に襲われた。
さっきまでのドキドキが、意思を持って暴れ出す。
欲望という形に変わって。
抑えれば倒れてしまいそうなくらいの……乱暴すぎる欲望。