Five Minutes
「はあっ?」
顔は見えませんが、どうやらヘッドホンの持ち主らしい若者の声。「だったら耳でも塞いでろってんだ、ジジイ」
「ああ、混んでなけりゃ、とっくにそうしてるよ」 すかさず返すオッサン。「キミは周りの迷惑になっているのがわからんのか」
「てめえの方がよっぽどうるせぇ」
「そうかい、だったら耳でも塞いだらいいじゃないか」
(お…)
素早いしっぺ返し。オッサン、なかなか健闘しています。
「音楽を聴くなとは言わんが、もう少しボリュームを下げてくれんかな」
「そんなん、俺の勝手…」
と若者が言いかけた時、
「なにぃ、キミにとっては最高の音楽でも、周りにとっては最低な雑音なんだッ!」
(うまいっ!)
俊次くんは思わずそう叫びそうになりました。
もう少し空いていたら、小さく拍手くらいしていたかもしれません。 ヘッドホンの若者は、どうやら反論の余地を見いだせなくなったようです。
周りの乗客もオッサンに賞賛の意を示しているらしいことを俊次くんは空気で感じると、途端に胸のつかえがスーッととれて、カッと熱くなっていた体も一気に冷めていきました。
顔は見えませんが、どうやらヘッドホンの持ち主らしい若者の声。「だったら耳でも塞いでろってんだ、ジジイ」
「ああ、混んでなけりゃ、とっくにそうしてるよ」 すかさず返すオッサン。「キミは周りの迷惑になっているのがわからんのか」
「てめえの方がよっぽどうるせぇ」
「そうかい、だったら耳でも塞いだらいいじゃないか」
(お…)
素早いしっぺ返し。オッサン、なかなか健闘しています。
「音楽を聴くなとは言わんが、もう少しボリュームを下げてくれんかな」
「そんなん、俺の勝手…」
と若者が言いかけた時、
「なにぃ、キミにとっては最高の音楽でも、周りにとっては最低な雑音なんだッ!」
(うまいっ!)
俊次くんは思わずそう叫びそうになりました。
もう少し空いていたら、小さく拍手くらいしていたかもしれません。 ヘッドホンの若者は、どうやら反論の余地を見いだせなくなったようです。
周りの乗客もオッサンに賞賛の意を示しているらしいことを俊次くんは空気で感じると、途端に胸のつかえがスーッととれて、カッと熱くなっていた体も一気に冷めていきました。