光の雨
やっぱり、お礼の事が気になるんだ…。無いって言ったら怒るかな?
「いや、もってきてないの!あげる気はあるんだけど…」
「忘れてたんですか?」
「えっ…」
図星です…。あたしの悪いところは、考えてることがすぐ顔に出ること。当然高橋後輩もそれに気づく。
「……へーぇ、財布を拾ってあげた恩を忘れてたんですかぁ」
意地悪そうにあたしに言う。あからさまに機嫌が悪い。わざとじゃないのに~!!…まあ、忘れたのは事実なんだけどね…。
「いっ、いやいや!忘れてなんかないよ!…な、何あげればいいか分かんなくて、欲しい物聞きに来たの!」
おっ?我ながら、ナイスフォロー!そうそう、そうなんだよね!聞きに来たんだよ!
「ふ~ん…ま、いいですけど」
「でね、ピアスを、あげようと思ったんだけど、どうかな?」
「ピアス?あー、俺、穴開けてないんですけど」
「えっっ!?そうなの?」
「気づきませんでしたか?ほら、穴開いてないでしょう?」
そう言って、髪を指先でちょっと上げて耳を出して、顔を近づけてくる。ふんわり香水のにおいがする。もう少しで、体温が伝わってきそうなくらい近い。
ち、近い近い!あたしこう言うのに免疫ないんだからぁ!
軽くパニックになりながら、そうだね、と言って顔を離す。
「…じ、じゃあ、何か欲しい物とか、ある?」
「えぇ?先輩が考えてくださいよ…」
「え~!…男の人の好みなんて分かんないからなぁ…」
そう言って二人とも考え込んでしまった。何か良い物はないかと考えていると、高橋後輩が口を開いた。