禁忌恋愛
「美衣ー?」


「ゆうくん…」


しばらくぼーっとしていたあたしの目の前にゆうくんが袋をガサガサして現れた。



「観覧車、乗るか?」


「…うん」



ゆうくんの笑顔が心に響く。


甘く、切なく…。



この感情は…、、、何?





「綺麗…」


思わず言葉が漏れた。


少し暗くなった空と輝くイルミネーション。

凄く綺麗…。


観覧車の景色に見入ってしまう。

ー…ううん。
見入っているように見せているだけかも知れない。


向かえに座るゆうくんを意識しないよう、外の景色にー…。



もうじき頂上って所でゆうくんが口を開いた。


「美衣…。俺、ちゃんとお前の父親、やれてるか?」


「え…」


いきなりどうしたの…?
戸惑いながらも頷いたあたしにゆうくんが優しく微笑んだ。


「俺と美衣には血が繋がっていない。だけど俺は美衣を本当の、本当の家族だと、思ってる」


ー…ずきん…。

家族、家族、家族…。

二文字の単語があたしの頭を支配する。


俯いたあたしの頭をゆうくんが乱暴に撫でた。


「…だから、プレゼント」

「…?」


プレゼント?

ゆっくり顔を上げれば、ちょうど頂上でー…。


綺麗な景色があたしの心を乱した。


…心のどこがで『家族』と言う単語を否定したくて堪らない。

あたしとゆうくんは‥…家族なんかじゃないよ。

きゅうっと唇を噛んだあたしの手の平に乗せられた小さな、可愛い箱。


ゆっくり丁寧に広げたあたしは言葉を失った…。

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