禁忌恋愛
「………まぁ、とりあえず、今日は泊まっていけばいい。俺もお前に喋りたい事があるんだ」


ゆうくんはぶっきらぼうにそう言うと台所を後にした。


あたしもお母さんといたくなくて台所から出ようとした時、震えたお母さんの声がした。



「み、美衣…お母さん、美衣の好きな野菜スープ作ったのよ?食べましょ?」


あたしは後ろを振りかえらないまま言った。


「あたしはもう………お母さんが知ってる、美衣じゃないよ。悪いけど、いらないから」


お母さんがまた泣いていたのは知っていたけど、あたしは構わず自分の部屋に戻った。



なんで…今さら帰ってくるの?


どうしてあんなに普通に接するの?


分からないよ…。


制服に着替えてカバンの中身をチェックしていると、途端に涙が溢れた。


今、心の中にいるゆうくんの事、突然帰って来た母の事、全てがグチャグチャで……どうしたらいいか分からない。



「美衣、行くぞ」

扉の向こうでゆうくんの声が聞こえた。


「あっごめん!」

急いで涙を拭いて扉を開けた。


「美衣…大丈夫か?」


ゆうくんがあたしの頬にそっと触れる。


「…っ」


バクン!バクン!
心臓が暴れだす。


ゆうくんの手はそのままあたしの目元まで滑り、ゆうくんは真剣な顔であたしを見つめた。


…~っ!

も…無理!!


「ごっごめ…っあたし先行くね!!」


ゆうくんの隣を全力で通りのける。


「ちょっ美衣?!」



ゆうくんの声にも構わずあたしは走り続けた。

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