禁忌恋愛
「おかあ、さん…」


ゴトン、と携帯が落ちたのとあたしが走りだしたのはほぼ同時だった。





走って

走って

お母さんを探した。


駅に着くと切符を買うお母さんの姿があった。


「お母さん!」


「美衣?どうしたの?!」

乱れた息を整えてお母さんを見つめる。


「お母さん…ごめん、ね…」

「え…?」

「あたし…、お母さんに酷い事ばかり言って……でも本当は……っあたし、お母さんが…」

ぎゅう。

心地よいお母さんの温かさに抱きしめられる。

「美衣…っ…」


あたし……


憎しみばかりに気をとられて

本当の気持ちが見えてなかった。


本当はあたし

お母さんに会いたかった。
寂しかったんだ。


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