チェリーをあげる。

部屋に戻ると、


さっきまでテーブルに向かっていたはずの渡さんが、なぜか布団の上に横になっていた。




え…?


もしかして渡さん、もう寝ちゃったの…?!




ちょっとぉ…。


まだ何もしてもらってないんですけど…(泣)!!




私は急いで布団に駆け寄り、向こう側を向いて寝ていた彼にささやいてみた。




「渡さん…?もう寝ちゃったの…?」




すると「いや…」と言って渡さんがくるっとこっちを向き直った。




「なんだ…、もう寝ちゃったのかと思った…」




ほっとした私がその場に正座し直すと、


渡さんもゆっくり起き上がってあぐらをかき、私の顔をじっと見つめてきた。




「雛ちゃん」


「え…?」




渡さんはメガネを外していたけど、


その目はどことなく暗く、少し怒っているようにも見えた。




えっ…。


私、何かしたかな…?




それとも私達の魂胆がバレて、渡さん怒っちゃった…?!
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