チェリーをあげる。
「私ね…、早く渡さんとそういうことしたいって思ってたの…」
「そういうこと…?」
渡さんが眉間に皺を寄せた。
「そういうことって、どういうこと…?」
「だからそれは…」
私は恥を捨てて言った。
「その…、渡さんとエッチしたいってことだよ…」
そう発した瞬間、
渡さんの顔が強張るのがわかった。
「何…、雛ちゃんは俺にそんなこと期待してたんだ…?」
そう訊かれて首を縦に振ると、
渡さんは「なんで?」と言った。
「なんでって言われても…」
私は返事に窮した。
そんなの、
渡さんのことが好きだからに決まってるじゃん…。
そう思ったけど、全然そんなこと言えるような雰囲気じゃなくて、
私が無言を貫くと、渡さんはまた大きなため息をついた。
「そんなふうに思われてたなんてがっかりだよ…」
え…?