チェリーをあげる。
「どうして…?」
思わずそうたずねると、
渡さんはため息をついた。
「高校んとき付き合ってた彼女に、やっぱりそういうことしたいってねだられたことがあってね…」
「え…」
「俺だって全く興味なかったわけじゃないから、言われるまま彼女と関係を持ったんだけど…」
ドキッとした。
それは初めて聞く渡さんのコイバナだった。
「俺…、うっかり彼女のこと妊娠させちゃってさ…」
「え…?」
「とにかくその後すっごく大変だったんだ…」
「うそ…」
それで…?
それから彼女とどうなったの…?!
…って、
ホントはそう訊きたかったけど、
渡さんはそれ以上話したくなかったのか、急にまたふとんに戻って、
「ごめん…。とにかくそういうことだから、もし雛ちゃんも俺とそういう関係を望んでいるんだったら、俺はこれ以上君と付き合えない…」
そう言ってタオルケットをかぶった。