チェリーをあげる。

早起きして身支度を整えると、私はすぐに家を出た。




電車に乗っていくらか歩くと、ようやく渡さんの寮へ到着。


8月にもなると朝っぱらから日差しがきつくて、


数歩歩いただけでも汗がダラダラ流れてくる。



私は自動販売機で水を買うと、


それを飲みながら寮の玄関から少し離れた木陰のところで、渡さんが現われるのをじっと待っていた。






ここは工学部専用の男子寮ということで、玄関から出入りするのは文字通り男の人ばかりだった。



頭の良さそうな人やそうでもなさそうな人、大柄な人や小柄の人、派手な人に地味な人。


とにかくいろんな人が出入りしていたけど、


お昼になっても渡さんは姿を見せなかった。




渡さん、やっぱり今頃塾のバイトかなあ…。



このまま夜まで帰ってこなかったらどうしよう…。




その間、私はこうしてずーっと待ってなきゃいけないのかな…?



ちょっとストーカーっぽくてマジ恥ずかしいんですけど(汗)。
< 117 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop