チェリーをあげる。
早起きして身支度を整えると、私はすぐに家を出た。
電車に乗っていくらか歩くと、ようやく渡さんの寮へ到着。
8月にもなると朝っぱらから日差しがきつくて、
数歩歩いただけでも汗がダラダラ流れてくる。
私は自動販売機で水を買うと、
それを飲みながら寮の玄関から少し離れた木陰のところで、渡さんが現われるのをじっと待っていた。
ここは工学部専用の男子寮ということで、玄関から出入りするのは文字通り男の人ばかりだった。
頭の良さそうな人やそうでもなさそうな人、大柄な人や小柄の人、派手な人に地味な人。
とにかくいろんな人が出入りしていたけど、
お昼になっても渡さんは姿を見せなかった。
渡さん、やっぱり今頃塾のバイトかなあ…。
このまま夜まで帰ってこなかったらどうしよう…。
その間、私はこうしてずーっと待ってなきゃいけないのかな…?
ちょっとストーカーっぽくてマジ恥ずかしいんですけど(汗)。