チェリーをあげる。
「すみません…、ここはどなたの部屋ですか…?」
そうたずねると、
「ここ…?ああ、俺の部屋だよ…。ヤローばっかなんで汚くて悪いね」
自分の机らしき前に座った伸さんがはにかんだ。
「そうですか…」
伸さんの部屋ってことは、同時に渡さんの部屋なんだろうって思ったけど、
そんな感動に浸る余裕もなく、今度は伸さんが訊いてきた。
「それよりさ…、雛ちゃんだっけ…?さっき渡に会いたいって言ってたけど、君、もしかしてあいつの彼女…?」
「あ…、はい、まあ…」
思わずそう答えた後、
すぐに渡さんにきのう電話で言われたことが頭をよぎって、
「いえ…、あの…、彼女と言うか元カノというか、今はちょっと微妙な関係なんです…」
そう言葉を濁してしまった。