チェリーをあげる。

「雛ちゃん…?」




再び目にハンカチを当てた私に、伸さんが声をかけてくれた。




「やっぱり渡となんかあったんだ…?」




私は黙ってうなずいた。




「何…、一体何があったって言うの…?よかったら相談にのるけど…」




伸さんがあぐらをかくように畳の上に座り直したので、




「それが…」




他人のやさしい言葉に弱い私は、


伸さんが初対面であるにもかかわらず、つい彼に渡さんとのいきさつを話していた。






さすがにエッチをねだって怒らせちゃったことは言えなかったけど、


ケンカして私とはもう付き合えないみたいに言われたこと、


それでも自分はまだ彼が好きで、こんなことで別れたくないと思っていることなどを話すと、


伸さんは「わかった」と言ってうなずいた。




「雛ちゃんと渡がもう一度やり直せるよう、俺が間に入ってやるよ」


「え…?」
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