チェリーをあげる。
伸さんの申し出をありがたく受け入れていいものか一瞬迷ったけど、
今の自分にはもう彼しか頼れる人がいない気がして、結局伸さんの協力を仰ぐことにした。
「そうと決まれば、まずは雛ちゃんと渡がちゃんと話し合える時間を作らないとだな…」
伸さんは言った。
「俺、今夜部屋のヤツラ連れて飲みに出かけるから、その間雛ちゃんはここで渡の帰りを待てばいいよ」
「え…?」
「それであいつが戻って来たら、ふたりでじっくり話せばいい」
「えっ…」
「大丈夫。俺達明け方まで帰って来ないようにするし、何ならここに泊まっていってもいいよ」
「…はぃ?」
「だから雛ちゃんは一旦家に戻って、夜になったらまたここに来て。君を部屋に入れてから俺達出かけるから。あ…、何かあったらここに連絡して。俺の携帯なんだけど」
伸さんは私に携帯電話の番号とメールアドレスを書いたメモをくれた。