チェリーをあげる。

ひとり部屋に取り残された私は、


特にすることもなく、なんだか途方に暮れてしまった。



渡さんの帰宅時間まではまだ3時間くらいあった。


暇つぶしの道具を何も持ってきていなかったので、


その辺にある雑誌でも読んでいようかと思い、適当に1冊つかんでパラパラとめくってみた。



…けど、


数ページ見ただけでそれがエッチな本だということがわかると、


結局それ以上見ることができなかった。


どうもそれ以外の本もそっち系のものらしい…。




若い男性の部屋なんだから、こういうのがあっても全然おかしくないんだろうけど、


たぶんこれは渡さんの趣味じゃないだろうと思いながら、


私は散らかっていた雑誌をとりあえず本棚に片付けた。



ついでに掃除もしてあげようかと思ったけど、


昨夜よく眠れなかったせいか、昼間体力を消耗してしまったせいか、


雑誌を整理し終えたとたん、私は急に睡魔に襲われた。






やばい…。




そう思ったけどもう眠気に勝てなくて、


私は畳の上にごろんと転がると、そのまま意識を失ってしまった(ようだった)。
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