チェリーをあげる。

どうして私って、


こういつもタイミングの悪い人間なんだろうって


自分でも思うんだけど、




浅い眠りの中、


誰かに名前を呼ばれた気がしてふと目を覚ますと、




そこには渡さんの顔があった。




「わ…、渡さんっ…?!」




びっくりして起き上がると、


帰宅直後だったのか、彼はレンタルショップの地味な制服姿で私の横にしゃがみ込んでいた。




「もう帰って来たんだ…?」




私の言葉に、渡さんが顔をしかめた。




「あのさ…、昼間も言ったけど、どうして雛ちゃんがこんなところにいるわけ…?」


「え…?」


「俺、雛ちゃんとはもう付き合えないって言ったのに、どうしてこんなマネするの…?」


「…それは」


「机の上に伸さんからのメモがあったんだ…。“今日は3人で朝まで飲みに行ってくるから、雛ちゃんとごゆっくり”って、一体どういうこと…?君は伸さん達に俺達のこと話したの…?」


「……」




その問いに思わず口をつぐむと、


渡さんは「やっぱりそうなんだ」とため息をついた。
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