チェリーをあげる。

カギが開けっ放しになっている裏口から外へ出ると、


私は泣きながら伸さんに電話をかけていた。






〈もしもーし?〉


「あ…、伸さん…?」




電話がつながると、伸さんは私の声色からすぐに状況を察してくれたみたいで、




「今、駅前通のどこどこで飲んでるから雛ちゃんも来なよ」




と言ってくれた。




このままひとりで帰るのも何だった私は、


伸さんの誘いに乗り、言われたお店まで出かけてみることにした。






深夜だというのにまだにぎやかな居酒屋チェーン店に入ると、


伸さんが入り口のところまで迎えに来てくれた。




連れられて行った席には、既にできあがっている和さんと敬さんがいた。



伸さんが注文してくれたアルコールを飲むと、私はまた泣きたくなって、


さっき渡さんに言われたことを全部彼らに話していた。
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