チェリーをあげる。
07 過去の恋をたずねる旅
数日後。
私と伸さんは渡さんの地元へと旅立った。
この話はもちろん渡さんには内緒。
敬さんと和さんにも声をかけてみたけど、ふたりともバイトで都合がつかないと言うので、
結局私と伸さんふたりで行くことになった。
その夜。
私達は駅で落ち合い、こっちの名物や銘菓をたくさん買い込むと、予約していた高速バスに乗り込んだ。
バスの中は満席状態。
私の隣に座った伸さんは、まるでおのぼりさんのようにはしゃいでいたけれど、
間もなく寝息を立てながら、大きく船を漕ぎ始めた。
私の方は緊張してなかなか寝付けなかったけど、
明け方うとうとしていたら、すぐに新幹線も通過する大きな駅で降ろされた。
眠い目をこすりながら再びバスに乗り換え、
ほとんど乗客のいない車内で今度は伸さんと別々に座る。
再び眠気が押し寄せてきたとき、今度ばかりは私もゆっくり眠ることにした。