チェリーをあげる。
その晩。
11時頃だっただろうか。
ふいに枕元の携帯電話が鳴った。
「もしもし…?」
私は半分夢の中で通話ボタンを押していた。
〈もしもし…?〉
聞き慣れない声がする。
「あの、どちら様ですか…?」
〈あ…、夜分遅くにすみません…。今日手紙をいただいた橋尾ですが…〉
え…?
「わ…、渡さんっ…?!」
寝ぼけまなこも一気に冴えた。
〈あ…、今お話させてもらっても大丈夫ですか…?〉
「あっ…、はい…!全然大丈夫です…!」
急いでベッドから起き上がり、部屋の明かりをつける。
すると渡さんは落ち着いた声で話し始めた。