チェリーをあげる。
その後、渡さんのお姉さんからバスの停留所まで送ってもらうと、
私と伸さんは再び県都に向かうバスに乗って、高速バスに乗り継いだ。
予約していたバスになんとか間に合い、指定された座席に座ると、
隣に座った伸さんが私に今日の感想を述べてきた。
「いやー、こんなにうまくいくとは思ってもなかったけど…、日帰りでバス予約しといて正解だったな」
「そうですね」
「俺、渡の元カノにこんなすんなり会えるなんて思ってもみなかったけど、もし今日会えなかったらバスの予約キャンセルして、どっかに泊まって長期戦でいってもいいかなって思ってたんだ」
「え…?」
「それもラブホかどこかに」
いきなりセクハラじみたことを言う伸さんに、
「またまたー。冗談はやめてくださいよー」
私は笑って彼の膝をペチッとたたいた。
伸さんは「マジだって」と言って笑っていたけど、
間もなく私の肩にもたれながら寝息を立て始めた。