チェリーをあげる。

渡さんの寮に着き、入り口付近をうろうろすること数時間。


渡さんに会うことはできなかったけど、


敬さんに会うことができたので、私は「渡さんはいますか?」とたずねてみた。



すると敬さんは「いや、あいつはまだバイトだな…。もしなら俺らの部屋で待ってる…?」と言ってくれたので、


私はその言葉に甘えさせてもらうことにした。




また裏口からサンダルを持って寮の中へ入ると、敬さんが彼らの部屋へと連れて行ってくれた。


ちょうど夕飯時だったみたいで、途中食堂の前を通ると、中からにぎやかな声が聞こえてきた。



渡さん達の部屋に着くと、電気はついていたものの、誰もいなかった。


天井には今日も男性用の下着がひらひらしている。




目のやり場に困っていると、




「和も伸も食堂に行ってるな…。俺もこれから食べに行ってくるけど、そのうち和か伸が帰ってくると思うから、ちょっとここで待ってて」




そう言って敬さんが部屋を出て行った。
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