チェリーをあげる。
「ほら、雛ちゃん」
伸さんが助手席のドアを開けた。
「あっ…、はい…」
言われるまま車を降りた私。
伸さんについてガレージから階段を上がり、ホテルの中に入る。
入口でサンダルを脱ぎ、スリッパに足を通す。
「お…、お邪魔します…」
こんなところに来るなんて、生まれて初めての経験だ。
ドキドキしながら部屋に入ると、冷房のひんやりとした空気が私達を包んだ。
伸さんは部屋の中を歩き回って、備品とか部屋の造りをいろいろとチェックしているようだった。
一見、そこは修学旅行や家族旅行で行ったようなビジネスホテルと何も違わない感じがした。
…でも、
ちらっと見ると、怪しい自販機やちょこっとしたゲーム機みたいなものもあって、
こういう場所に来たことがない私には、ちょっと刺激が強かった。