チェリーをあげる。

緊張する頭の中で、もうひとりの私が私に言う。




『よかったじゃん、雛…!これであんたもオトナの仲間入りができるじゃん…!』




すると、別な私も私に言った。




『けど、あんたは渡さんが好きなんでしょ…?ずっと“初体験は渡さんと…”って思ってきたのに、こんな簡単に他の男と済ませていいの…?』




更に第三の私が言う。




『でも、私だって19になるっていうのに、未だ経験がないなんてやっぱ恥ずかしいよ…!ここは伸さんの好意に甘えなきゃ…!!』




『そうそう、こんなチャンスきっとめったにないよ…?!』




たくさんの私が私をそそのかす。





   
そうだよね…。




こんなチャンス、確かに今を逃したらまたしばらくないかも…。
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