チェリーをあげる。
「すみませんでした…」
部屋へ戻ると、
既に照明が落とされていて、伸さんはベッドの上でふとんをかぶって横になっていた。
「今日はもう寝るから、雛ちゃんも寝なよ」
ふとんの中からそんな声が聞こえた。
「えっ…」
「何もしないから君もベッドに入りなよ」
伸さんがそう言ってくれたので、
「あ…、じゃあ失礼します…」
私は気まずい思いを抱えたまま、素直に伸さんの隣に横になった。
どうしよ…。
やっぱ伸さん、怒ってるんだ…?
彼とは反対方向を向いて横になっていると、
伸さんがまたつぶやいた。
「雛ちゃんって、案外勇気ないんだね」
え…?