チェリーをあげる。

思わず伸さんの方に寝返りを打つと、彼もこっちを向いていた。




「だってそうだろ…?こんなところに来ておいて、いざとなるとしり込みしちゃうんだから」


「はあ…」




私が認めると、伸さんは苦笑いした。




「そんなんだったら、別に無理して大人にならなくてもいいんじゃない…?」


「え…?」


「俺ずっと思ってたんだけどさ、雛ちゃんて無理して大人ぶろうとしてるよね…?」


「え…?」




伸さんは続けた。




「雛ちゃん、お風呂に入ってから化粧落としたでしょ…?」


「あっ…」




やばっ☆



やっぱり男の人の前で、すっぴんはまずかったか…。




「ごめんなさい…!」




恥ずかしくなってまた寝返りを打つと、後ろから伸さんが言った。




「自分じゃ気づいてないかもしれないけど、君はあんな派手な化粧なんかしない方がいいよ」




え…?
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