チェリーをあげる。
再び彼の方を向くと、伸さんも反対側を向いて横になっていた。
「君は化粧なんてしなくたって、十分かわいいし」
「そ…、そうですか…?」
「うん」
「……」
そのまま伸さんの背中を見ていたら、こんな言葉が聞こえてきた。
「別にまわりと違ったっていいじゃない…。もっと自分の個性を大事にしなきゃ…」
そう言うと伸さんは「お休み」とつぶやいて、すぐに寝息を立て始めた。
「……」
私は言葉がなく、
ただ考えることが多く、
明け方近くまでなかなか寝付けなかった。